お富さん / Otomisan Restaurant
ロサンゼルスのボイルハイツ地区、1stストリートの静かな一角にひっそりと佇むOtomisan Restaurantは、ただの飲食店ではありません。1956年に創業したこの店は、ロサンゼルスで最も古くから営業を続ける日本食レストランです。ドアをくぐると、まるでタイムスリップしたような感覚に包まれます。家庭的な日本食の温もりと、ボイルハイツの豊かな文化が交錯する空間。本格的な日本食と歴史を味わいたいなら、Otomisanは必見のスポットです。
ボイルハイツの日系文化を象徴する歴史
Otomisanの物語は1956年、Seto夫妻が「Otemo Sushi Cafe」として店を開いたことから始まります。当時、ボイルハイツは日系アメリカ人のコミュニティの中心地でした。特に第二次世界大戦後、強制収容から解放された多くの日系人が、手頃な価格と緩やかな住宅規制を求めてこの地に再定住。1927年には約1,400人の日系アメリカ人が暮らしていたとされています。時代と共にボイルハイツはラテン系住民が多数を占める地域へと変わりましたが、Otomisanは今なお日本文化の名残を残す唯一のレストランです。
1970年代、Seino夫妻が店を引き継ぎ「Otomisan」に改名。2005年には渡辺弥生さんがオーナーとなり、日本文化の継承に尽力しました。2024年にはJeffrey Igeさんが新オーナーに就任し、伝統を守り続けています。その文化的価値と長年の功績が認められ、2022年にはロサンゼルス市から歴史文化記念建造物(Historic-Cultural Monument)に指定されました。レストランという枠を超え、日系移民の歴史を今に伝える貴重な場所なのです
2022年にはロサンゼルス市により、Otomisanとその建物(西山家)が歴史的文化的モニュメントに指定され、日系アメリカ人の起業家精神とコミュニティの回復力を象徴する存在として認められました。
レトロで温かみのある店内
Otomisanの店内に入ると、まるで昭和時代の日本にタイムスリップしたかのような雰囲気に包まれます。赤いビニールのブース席が3つ、そしてカウンターという小ぢんまりとした空間でどこか家庭的で、温もりを感じさせる空気が流れています。まさに“昔ながらの食堂”という言葉がぴったり。初めて訪れるのに、どこか懐かしさを感じます。
メニュー
Otomisanのメニューは、日本の実家で食べるような家庭料理の宝庫です。派手な創作料理はなく、ほっとする定番料理が揃っています。
いざ、喫食
天ぷらとのコンビネーション定食を注文しようとしたところ、「本日は天ぷらが売り切れてしまっていて…」とのこと。ショックでしたが、気を取り直して代わりに選んだのが「ポークカツと刺身のコンビネーション定食」。日本の食卓に出てくるような、どこか懐かしい味。ごはんがどんどん進みました。
まとめ
Otomisanは、ただの日本食レストランではありません。そこにはロサンゼルスに生きた日系移民たちの物語が詰まっており、温かな料理と共に受け継がれてきた“心”があります。
旅行やローカル散策の途中に、ふらりと立ち寄ってみてください。食事を終えたあと、きっと「また来たい」と思える、そんな不思議な魅力をもつ一軒です。
お富さん / Otomisan Restaurant
Address : 2506 1/2, 1st St, Los Angeles, CA 90033
HP : https://otomisanrestaurant.com/
Yelp : https://www.yelp.com/biz/otomisan-restaurant-los-angeles